ローカルで動くのになぜbuildが必要?初学者向けに解説

ローカルで動くのになぜbuildが必要?初学者向けに解説

はじめに、、、

プログラミングを始めたばかりの頃、こんな疑問を持ったことはありませんか?

npm run devでローカルでは動いてるのに、なんでnpm run buildが必要なの?」

私も最初は同じ疑問を持っていました。この記事では、開発環境と本番環境の違い、そしてbuildが必要な理由について、初学者向けにわかりやすく解説します。

開発環境で動いている"正体"

ローカルでnpm run devnpm startを実行しているとき、実は裏側で様々な開発支援機能が動いています。

開発環境の特徴

  • ファイル監視とホットリロード: ファイルを保存すると自動でブラウザがリロードされる
  • 詳細なエラーメッセージ: エラーが起きたときに、どこで何が起きたかを親切に教えてくれる
  • ソースマップ: 元のコードを確認できるようにする
  • 開発用サーバー: 常に監視しながら動き続けるサーバー

これらは開発体験を良くするための機能で、実はかなり重い処理なんです。

buildが必要な理由

開発環境は便利ですが、そのまま本番環境に持っていくことはできません。理由は大きく分けて3つあります。

1. パフォーマンス最適化

本番環境では、ユーザーにできるだけ速くアプリを表示する必要があります。

buildプロセスでは以下のような最適化が行われます:

  • コードの圧縮(minify): 空白や改行を削除し、変数名を短くする
  • Tree shaking: 使われていないコードを削除する
  • バンドル: 複数のファイルを1つにまとめて、リクエスト数を減らす
  • コード分割: 必要な部分だけを最初に読み込む

例: コードの圧縮

// 開発環境 (読みやすい)
function calculateTotal(price, taxRate) {
  const tax = price * taxRate;
  const total = price + tax;
  return total;
}

// build後 (圧縮された)
function calculateTotal(p,t){return p+p*t}

ファイルサイズが大幅に削減され、ユーザーのダウンロード時間が短縮されます。

2. ブラウザ互換性の確保

現代のJavaScript(ES6+)やTypeScript、Sassなどは、古いブラウザでは動作しません。

buildプロセスでは:

  • トランスパイル: 最新の文法を古いブラウザでも動く形に変換
  • ポリフィル: 古いブラウザに足りない機能を補完
  • CSS プリプロセッサの変換: SassやLessを通常のCSSに変換

例: アロー関数の変換

// 開発環境 (ES6)
const greet = (name) => `Hello, ${name}!`;

// build後 (ES5 - 古いブラウザ対応)
var greet = function(name) {
  return "Hello, " + name + "!";
};

3. セキュリティとクリーンアップ

開発環境には、本番環境に含めるべきでない情報が含まれています:

  • 開発用のデバッグ情報: コンソールログや詳細なエラーメッセージ
  • ソースマップ: 元のコード構造が見える(設定次第)
  • 環境変数の適切な処理: APIキーなどの機密情報の管理

buildプロセスでこれらを適切に処理・削除します。

buildで警告が出る理由

buildを実行すると、こんな警告を見たことはありませんか?

Warning: 'unusedFunction' is defined but never used
Warning: Module 'lodash' imported but not used

これはbuildツールが最適化のために教えてくれているんです。

警告の意味

import { Button, Modal, Dropdown, Tooltip } from 'heavy-ui-library'; // 10MB

function App() {
  return <Button>Click me</Button>;
  // Modal、Dropdown、Tooltipは使ってない!
}

この場合:

  • 開発環境では問題なく動作します
  • しかしbuildすると「Modal、Dropdown、Tooltip使ってないよ!」と警告が出ます
  • これらを削除すれば、10MBが2MBになる可能性があります

なぜ開発時には気づかないのか?

開発環境では「全部読み込んで動かす」ので、無駄があっても動作します。 buildで初めて「本番に出すには無駄が多いよ!」と可視化されるんです。

つまり、buildは最適化のための"健康診断"のようなものです。

開発環境と本番環境の比較

開発環境 (npm run dev)

本番環境 (npm run build)

目的

開発体験の向上

パフォーマンスの最適化

ファイルサイズ

大きい(読みやすさ優先)

小さい(圧縮・最適化済み)

エラー表示

詳細でわかりやすい

最小限

リロード

自動(ホットリロード)

なし(静的ファイル)

処理速度

遅め(監視処理あり)

速い(最適化済み)

デバッグ

しやすい

しにくい(圧縮済み)

まとめ

  • 開発環境は、開発者の作業効率を上げるための環境
  • 本番環境は、エンドユーザーに最高の体験を提供するための環境
  • buildプロセスは、開発環境のコードを本番環境用に最適化する作業

ローカルで動いているからといって、それがそのまま本番で使えるわけではありません。buildは、ユーザーに快適な体験を届けるための重要なステップなんです。

「なんでbuildが必要なの?」という疑問が、少しでも解消されたら嬉しいです!

参考